
この記事は、妊+のstand.fm『妊活すっぴんトーク』で配信した内容をもとに、読みやすく編集したものです。
今回のゲストは、5年半の不妊治療を経験し、不妊治療のエッセイ漫画や発信を続けながら、不妊ピア・カウンセラーとして活動する小森うにさん。
今回のテーマは、「自分を大切にするって、どういうこと?」
「もっと自分を大切にしたほうがいい」と言われても、いまひとつピンとこない。
治療中、「休むことも大事」と言われても、休んでいるほうが落ち着かない。
頑張っているほうが、自分の中ではしっくりくる。
そんな、言葉では説明しにくい違和感や迷いについて、二人で話しました。
不妊治療をしていると、「こうしたほうがいい」と言われることがあります。でも、それが自分にとって本当に心地いいのかは、また別の話なのかもしれません。
そんな二人の「自分を大切にする」をめぐる本音を、ラジオを聴くような気持ちで、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。
放送回へ飛ばない時は2回タップ
(タップ→戻る→タップ)

『自分を大切にして』と言われても、よくわからなかった
今回のテーマとして二人が選んだのは、「自分を大切にするって、どういうこと?」。藤岡が以前から感じていた、この言葉への小さな違和感からトークは始まりました。
藤岡:
「私の場合は、『もっと自分を大切にしたほうがいいよ』って言われることがあって。たぶん、思ったことをちゃんと言えないとか、周りの目を気にしちゃうとか。そういうところを見て言われてるんだろうなって思ってたんです」
うにさん:
「うんうん」
藤岡:
「だから、『それができてない自分って、自分を大切にできてないのかな』って、そういうふうに変換してたんですよね。でも、それはなんか違うよな、みたいな違和感がずっとあって…自分を大切にするって、どういうことなのかわからない。でも、自分を大切にできてないっていう感覚もないんですよ。だから、実態はよくわかんないっていうのがあって」
うにさん:
「なるほどね」
藤岡:
「それが、たまたま本を立ち読みしたときに、『自分とか、ないから』っていう本に出会って。衝撃を受けちゃって。
よく『本当の自分』とか言うじゃないですか。私、それにもすごく違和感があったんです。本当の自分があること前提で、あることがいいことみたいな。でも、その本には『自分とかない』って書かれていて。そもそも自分っていう概念がないんだって思ったら、すごくすっきりしたんですよね」
うにさん:
「へえ。じゃあ、『自分を大切にする』っていうのも、ちょっと違って聞こえてくる?」
藤岡:
「そう。『自分っていうものがあって、それを大切にする』みたいなニュアンスだと、ちょっと違うなって。でも、自分とかないと考えると、自分だけじゃなくて、周りの人とのつながりを大切にすることも、自分を大切にすることなのかなって思うようになってきたんです」
「自分を大切にする」という言葉を入り口に、二人の話は思いがけず、「そもそも自分って何なんだろう?」という問いへ。ここから、うにさんが感じていたもう一つの違和感へと話は進んでいきます。
『休むことも大事』と言われても、休むほうがしんどかった
「自分を大切にする」と聞くと、ゆっくり休むことを思い浮かべる人もいるかもしれません。でも、「休むことが自分を大切にすること」とは、必ずしも言い切れないようです。
うにさん:
「よく『自分を大事にして、たまには休憩して、お風呂にゆっくり浸かって』とか言われるじゃないですか。でも、それが自分を大事にしてることになる人と、ならない人がおると思うんですよね」
藤岡:
「うんうん」
うにさん:
「だから、自分を大切にするうえでも自己理解って大事だと思うんですけど、とはいえ自己理解をするのが、だるくなってくるときもあるんですよ。『もうどうでもいい』みたいな」
藤岡:
「『自分はどう思っているんだろう』とか考えることをやりすぎると、疲れますよね」
うにさん:
「私、めっちゃ掘っちゃうんですよ。楽しいんですけど、急になんか『どうでもよくない?これ』ってなる。掘っても掘っても答えなんか出ないじゃないですか」
藤岡:
「そうそう。掘る場所間違えたら、えらいとこ行くしね」
うにさん:
「そうそう」
そこから話は、不妊治療中の「休むこと」へ。
藤岡:
「私も不妊治療中、治療を頑張りすぎていた時があって。そういうときに看護師さんとかにも『休むことも大事だよ』って言われたんです。それはもちろん本当にその通りなんですけど、なんかそれ自体を受け付けられない自分がいたんですよね。
だから、休むことを受け付けられない自分を、一回無視しないと私は休めないなって思ってて。休むっていう行動を取るのが、なんか自分に嘘ついてるような感覚もあったりして」

うにさん:
「そう。休むほうがしんどいときもあるじゃないですか。もう気がそわそわして落ち着かへん。そういうときは、めちゃめちゃしんどいけど、頑張るほうが自分の中では正解だったりもする」
藤岡:
「そうなんですよね」
「休むことも大事」という言葉自体は間違っていなくても、それを受け取ったときの自分の感覚は人それぞれ。二人の会話から、「こうするのが自分のため」という一般的なイメージと、自分自身の感覚とのズレが見えてきます。
頑張る私も、だらだらする私も、どちらも私
昔は不妊治療に限らず、頑張ることが当たり前になっていた。けれど、今は、以前ほど「頑張っている自分」ではない。そんな今の自分に、うにさんは少し戸惑いを感じていました。
うにさん:
「私、ものすごい頑張ってた時期があったんですよ。『私はもうこれのために生きてきたんだ』ぐらいの気持ちで。でも最近、ちょっと落ち着いてきてるというか。なんかすごくまったりしてて」
藤岡:
「うんうん」
うにさん:
「前は、いろんな人が『頑張っててすごいな!』って言ってくれて、それが楽しかったんです。
今はゆっくり、だらだらしてるから、「休んだほうがいいよ」という価値観の人から見たら『自分を大切にしている』って言われるかもしれない。でも、昔の私はあんなに頑張れてたのに、最近はなんでこんなに頑張られへんのやろう、みたいな。だらだらしながらへこんでるんですよね」
藤岡:
「へこんでるんだ」
うにさん:
「そう。『あのときは立派やったのになー』みたいな」
藤岡:
「でもさ、あのとき頑張ったから、今だらだらできるんじゃない?ずっとはやっぱ無理ですよね」
うにさん:
「あのときは頑張りたかったんですよね」
藤岡:
「そうだと思いますよ。やらされてたわけじゃなくて、自分がやりたかったんですよね」
頑張っていた頃の自分も、今のゆっくりしている自分も、どちらもそのときの自分。二人の話は、「頑張ること」と「休むこと」のどちらが正しいのかではなく、そのとき自分がどう感じていたのか、というところへ向かっていきます。

『前向きな不妊治療』をしている人と、自分を比べなくてもいい
不妊治療をしていると、SNSやブログなどで「いつも前向きに治療している人」を目にすることがあります。そうした「人に見せている自分」と、実際の自分との違いについても話しました。
うにさん:
「SNSやブロブで『いつも前向きで、赤ちゃん来るって待ってて。今回はあかんかったけど、これも一個また次につながるものができたと思って』みたいな人もいっぱいいますよね」
藤岡:
「うんうん」
うにさん:
「でも、そんな人、現実にはあんまりいないと思うんですよね」
藤岡:
「いやー、前向きに不妊治療できないよ、正直」
うにさん:
「ネットとかやったら、そういうのをブログに書いてたりする人もいるかもしれんけど、それはもう、自分に言い聞かせてるだけかもしれんし。人に見せるところって、自分で選べるから。『私は前向きな人に見られたい』って思ったら、そういう人として出すこともできる」
藤岡:
「確かに、そうだね」

うにさん:
「ブログを書く前の自分と書いた後の自分も、たぶん違うじゃないですか」
藤岡:
「そうそう。切り取れるからね」
うにさん:
「なんか、人に見せる前提でブログとか書いてると、いい感じにまとめちゃうんですよね」
藤岡:
「いや、わかる。なんかオチがあったほうがいいなと思うから。『ここに向かう』みたいな」
うにさん:
「自然にできてますよね。めっちゃ考えて書くから、書き終わって投稿したときには、それが自分の思考やって、ニューインストールされてるみたいな」
藤岡:
「そうそう。形として、文章として残るから、『これ、私が思ってること』みたいになるね」
うにさん:
「ちょっとカッコつけたりもするじゃないですか」
藤岡:
「いやー、わかりますよ。カッコつけちゃいますよね」
誰かが前向きに見えるからといって、その人の中にも揺れる気持ちがないとは限りません。私たち自身も、言葉にするときには少し「カッコつけて」しまう。そんな話をしているうちに、「自分をどう見せるか」というところまで考えていきます。
自分を掘っていくと、『私の正解』が少しずつ見えてくる
不妊治療をしていると、どうしても自分自身と向き合う時間が増えていきます。私たちにとって、それはしんどいだけの時間ではなく、いつの間にか「自分を掘る」ことにつながっていました。
うにさん:
「でも不妊治療するまでは、こんなの考えなかったですよ。なんか自分と向き合う時間がめちゃくちゃ増えません?」
藤岡:
「増える。もう向き合わざるを得なくなる。なんで子どもが欲しいんだろうとか、考えたことなかったもん、正直」
うにさん:
「そうですよ、そういうもん」
子どもができないことに直面すると、「なんで私は子どもが欲しいんだろう」と、これまで考えたこともなかったところまで掘っていくことになる。
うにさん:
「自分のことを掘って、あれ、なんか世間一般ではこれが正解とされてるけど、私の中の正解ってちょっと違うかったんや、みたいに気づくときとかあるじゃないですか」
藤岡:
「ある」
うにさん:
「そうすると、この人も普通とは違う正解を持ってるのかもしれない、みたいな」
自分の「正解」がわかってくると、今度は人のことも気になってくる。
「なんでこの人は、こういう考えをするんだろう」
そうやって、相手のことまで掘っていく。
藤岡:
「なんか、うにさんが掘るときって、めちゃくちゃストレートに来るじゃないですか。嫌味なく、すっと掘りに行く感じ。あれがね、ほんとにかっこいいなって思うんですよ」
うにさん:
「やったー」
藤岡:
「ほんとに。ぜひ活かしていってほしい、その『掘り師』の仕事」
うにさん:
「それが辛いとかになるんだったら、やらなくてもいいけど。楽しいとか、そういうふうになるんだったら、私はもう全然。一緒にやりましょうっていう感じ」

自分を掘ることも、人を掘ることも、楽しいからやる。
そして、ときには自分ひとりでは掘れないところを、誰かに手伝ってもらうこともある。
「自分を大切にする」ということは、決まった方法があるわけではない。
休むことでも、頑張ることでも、誰かと一緒に自分を掘ってみることでもいい。
そのときどきの自分にとっての「正解」を、探していくのかもしれません。
この話の続きは、ラジオで
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。今回の記事は、妊+のstand.fm『妊活すっぴんトーク』で配信した内容をもとに編集しました。
実際のラジオでは、「そうだね」「分かる」と何度も共感しながら、ときには笑いも交えて、二人がそれぞれの経験や気持ちを話しています。文章だけでは伝わりにくい、声の温度や会話の間も、ぜひ感じてみてください。
今回話したのは、「自分を大切にするって、どういうこと?」ということ。
休むこと、頑張ること、人と話すこと。
どれが正解というわけでもなく、そのときの自分は何を心地よいと感じるのか。そんなことを、二人で少しずつ掘っていきました。
あなたにとっての「自分を大切にする」は、どんなことなのか。
ラジオを聴きながら、そんなことを少し考えてみてもらえたら嬉しいです。😊
放送回へ飛ばない時は2回タップ
(タップ→戻る→タップ)

一人で考え続けるより、誰かと話してみませんか?
今回のラジオのように、話してみて「私も同じ」と思える人と話せることがあります。
一人で考えていると、同じことを何度も繰り返し考えてしまったり、モヤモヤの正体が分からないまま苦しくなったりすることも少なくありません。
妊+では、不妊治療を経験したカウンセラーによる無料の「はじめて相談50」をご用意しています。
あなたの気持ちを整理する時間として、お気軽にご利用ください。
▶ はじめて相談50(50分無料)はこちら
妊活中のメンタルケアは「妊+(nintasu )」


コメント