
この記事は、妊+のstand.fm『妊活すっぴんトーク』で配信した内容をもとに、読みやすく編集したものです。
今回は、妊+を運営する藤岡夫婦が、不妊治療をしていた頃のこと、今だから話せることを、時々脱線しながらゆるくお話ししています。
今回のテーマは「不妊治療のやめどき」。
……のはずが、話しているうちに思い出したのは、私たち夫婦の間で今も語り継がれる「漢方事件」でした。
3回目の移植が陰性だったあと、突然渡された漢方3か月分。
「あれ、今思えば“卒業漢方”だったんじゃない?」
そんな夫婦の何気ない会話から、不妊治療を終えること、続けること、そして自分たちなりのやめどきについて振り返ります。
ラジオを聴くような気持ちで、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。
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「不妊治療って、いつまで続ければいいんだろう」
治療を続けていると、一度はそんなことを考える瞬間があるかもしれません。
もう少し頑張ったら、次こそはうまくいくかもしれない。
でも、いつまで続けるのか分からない。
不妊治療の「やめどき」には、誰にでも当てはまる正解がありません。
今回のラジオでは、妊+を運営する私たち夫婦が、自分たちの不妊治療を振り返りました。
話しているうちに出てきたのが、私たちの間で今も語り継がれている、ある出来事。
その名も――
「漢方事件」
3回目の移植が陰性だったあと、突然渡されたのは、まさかの漢方3か月分でした!
当時は治療の渦中にいた私たちですが、今振り返ると、なぜか少し笑えてしまう。
そして実は、その出来事が、不妊治療の終わりを考える一つのきっかけになっていました。
不妊治療のやめどきって、どうやって決める?
ラジオの中で、クリニック選びについて話していた時のこと。リスナーさんからの
というコメントから、ふと私たち自身の治療の終わりについて話題が移りました。
夫:
「忘れもしない。俺は結構、漢方が引き金だったと思う」
私:
「漢方?」
夫:
「漢方事件」
私:
「ああ、漢方事件ね(笑)」
こうして突然始まった、わが家の「漢方事件」の振り返り。
グレードの良い胚盤胞を何度移植しても妊娠しない…
3個目の凍結胚を移植した時には、
「これでちょっとお休みしようか」
「どうやって治療を進めるか考えようか」
そんな会話を夫婦でしたのを覚えています。
30代前半でグレードの良い胚盤胞を移植しても妊娠しないということは、もしかしたら子どもは授かれないのかもしれない、と覚悟のようなものが湧いてきたのです。

移植しても陰性。「次はどうする?」と思っていた
3回目の凍結胚移植。結果は、陰性でした。
もちろんショックはありました。
でも同時に、私たちの中には「じゃあ、これからどうする?」という気持ちもありました。
夫:
「結果を聞いて、ダメだったなってなって。そこから“じゃあどうする?”って話をするんかと思った」
私:
「そうそう」
夫:
「そしたら、漢方がドーンってきた」
私:
「3ヶ月分(笑)」
次の治療をどうするのか。
少し休むのか。
もう一度移植するのか。
それとも、ここで一区切りにするのか。
そんな話になるのだと思っていました。
ところが、突然クリニックから渡されたのは大量の漢方でした。
私:
「先生もちょっと焦って、とりあえず漢方を……3ヶ月分。大量の漢方をいきなり出されて」
夫:
「今これ?ってなったよね」
私:
「なった(笑)」
「え、今?」大量の漢方を見て夫婦で笑った
もちろん、漢方そのものを否定したいわけではありません。必要な人もいるでしょうし、体質や状況によって合う人もいると思います。
ただ、私たちにとっては、とにかくタイミングが衝撃的でした。
それまで、さまざまな治療を続けてきました。
薬も飲んできました。
できることを考え、体を整えながら、移植を繰り返してきました。
そして3回目の凍結胚移植が陰性。
そのタイミングで――
漢方3ヶ月分。
私:
「漢方出すんだったら、もっと初期で出してほしいよね」
夫:
「3ヶ月、いきなりドサッと出された時に、“もうやることないんかい”って思った」
私:
「そうなんよ(笑)」
しかも、その量がすごかった。
私:
「ジャガイモの袋詰めみたいな量で」
夫:
「ポテチ3袋くらい買ったみたいな」
私:
「ほんまにそれ(笑)」
不妊治療の話なのに、今振り返ると笑ってしまいます。
でも、当時の私たちにとって、その「笑えたこと」は意外と大きかったのかもしれません。

「もうここでいいか」気持ちが少し緩んだ瞬間
夫はラジオの中で、こんなふうに振り返っていました。
夫:
「あの漢方を見て、ちょっと笑って。“ここまででいいか”って」
私:
「なんか、フィニッシュしましょうか、みたいな気持ちになっちゃったんだよね」
残りの凍結胚を大切に移植して、不妊治療をやめる。
言葉にすると、とても大きな決断に聞こえます。
実際、大きな決断です。
でも私たちの場合は、ドラマのように「今日で終わりにします」と決断したわけではありませんでした。
大量の漢方を前にして、
「え? 今?」
「3ヶ月?」
「このタイミングで?」
と夫婦で笑った。
その瞬間、張りつめていたものが少し緩んだのだと思います。
私:
「あれ、笑えたって結構、気持ちが楽になった」
夫:
「うん」
私:
「そこまで切羽詰まってないんだ、自分たちって思えて。なんかちょっと緩んだのがある」
もし、あの時の私たちが
「この漢方にすがりたい」
「これを飲めば次こそ」
と強く思っていたら、まだ治療を続けていたかもしれません。
でも、そうではありませんでした。
夫婦で笑えた。
「もういいのかもしれないね」と思えた。
それが、私たちにとっての一つのサインだったのかもしれません。
不妊治療の終わりは、一つの出来事で決まるわけではない
ラジオで話しながら、改めて気づいたことがあります。
私:
「確かに、そういう一個一個の積み重ねで、やめるとかさ、そういうのも決まってくるよね」
不妊治療のやめどきは、一つの大きな出来事だけで決まるとは限りません。
陰性だったこと。
治療に疲れたこと。
仕事との両立が苦しくなったこと。
お金のこと。
夫婦の気持ち。
クリニックとの関係。
そして時には、私たちにとっての「漢方3ヶ月分」のような、思いがけない出来事。
一つひとつは小さく見えても、それらが積み重なって、
「そろそろなのかもしれない」
という気持ちにつながることがあります。
住む場所によっても、不妊治療の悩みは違う
今回のラジオでは、不妊治療の地域差についても話しました。
都市部では、複数の不妊治療クリニックから選べることがあります。
一方で、地方では通える範囲に専門クリニックが少ない場合もあります。
私自身、クリニックを選んだ理由はとても現実的でした。
夫:
「○○クリニックを選んだのって、仕事の都合が一番だった?」
私:
「うん。それだけ」
仕事をしながら通えること。
そして、不妊治療の専門であること。
その条件で探した時、ほとんど選択肢がありませんでした。
私:
「仕事で通えるところと、あとは不妊の専門っていうところがいいなって思って。それで選んだら、そこしかなかったって感じ」
選択肢がたくさんある人。
一つしかない人。
クリニックまで高速道路を使って1時間かけて通う人。
住む場所や仕事によって、不妊治療の環境は大きく変わります。
だからこそ、悩み方も違うのかもしれません。

クリニックを変えられない時、自分を責めてしまうこともある
ラジオの中では、こんな話にもなりました。
もし近くにクリニックが一つしかなかったら。
治療がうまくいかなくても、簡単には転院できません。
「この先生とは合わない」
「別の治療も考えてみたい」
そう思っても、次のクリニックまで何時間もかかるかもしれない。
夫:
「クリニックを責めたい気持ちがあっても、関係が悪くなったら次が大変ってなった時、自分を責めてしまうんじゃないかって思う」
私:
「確かにね」
治療がうまくいかない時、
「私の体が悪いから」
「もっと頑張ればよかった」
と、自分を責めてしまう人もいます。
でも、不妊治療は努力だけで結果が決まるものではありません。
環境も違う。
選択肢も違う。
通える距離も違う。
だから、同じ「不妊治療中」という言葉だけでは、その人が抱えているものは分からないのだと思います。
「卒業漢方だったのかもね」と今は笑える
ラジオの後半、漢方事件の話はどんどん脱線していきました。
夫:
「もしかしたら、あれは“もう卒業してください”っていう漢方だったのかもしれない」
私:
「卒業漢方(笑)」
夫:
「名前も“卒業漢方”にしとってくれたら悟れるのに」
私:
「ほんまに(笑)」
今だから笑える話です。
当時は、陰性という結果を受け止めた直後でした。決して、何も感じていなかったわけではありません。
でも、不思議なことに、夫婦で笑えた。
そして、その笑いが少しだけ私たちの気持ちを緩めてくれました。
不妊治療のやめどきは、誰かに決めてもらうものではありません。
続けることも、
休むことも、
終えることも、
どれが正解とは言えません。
ただ、自分の気持ちが少し緩んだ瞬間。
「もう十分かもしれない」と思えた瞬間。
夫婦で同じ方向を向けた瞬間。
そうした小さな変化の中に、自分たちなりの答えが見つかることもあるのだと思います。

今、不妊治療のやめどきに悩んでいるあなたへ
もし今、
「もうやめたい」
「でも、やめたら後悔するかもしれない」
「次こそはうまくいくかもしれない」
そんな気持ちの間で揺れているなら、すぐに答えを出せなくてもいいのだと思います。
私たちも、最初から明確な答えを持っていたわけではありませんでした。
最後の移植。
陰性という結果。
大量の漢方。
夫婦で交わした会話。
そして、思わず笑ってしまったこと。
そんな一つひとつの積み重ねの中で、少しずつ「ここまでかもしれない」と思えるようになりました。
不妊治療のやめどきに、誰にでも当てはまる正解はありません。
だからこそ、一人で答えを出そうとしなくてもいい。
夫婦で話してもいい。
誰かに気持ちを聞いてもらってもいい。
「続けるか、やめるか」を決める前に、今の自分が本当は何を感じているのかを話してみる。
それだけでも、少し見える景色が変わることがあります。
そしていつか、私たちが「卒業漢方だったのかもね」と笑えるようになったように、今は苦しい出来事も、少し違う形で振り返れる日が来るかもしれません。
この話の続きは、ラジオで
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。今回の記事は、妊+のstand.fm『妊活すっぴんトーク』で配信した内容をもとに編集しました。
実際のラジオでは、「不妊治療のやめどき」だけを真面目に話しているわけではありません。途中で話が脱線したり、夫婦でツッコミ合ったり、「なんでこの話になったんだっけ?」となったり。
でも、そんな何気ない会話の中だからこそ、当時は言葉にできなかった気持ちが、ふっと出てくることがあります。
「あの時、実はこう思ってたんだ」
「私はそんなふうに感じてたよ」
「今だから笑えるね」
不妊治療の経験を、きれいにまとめすぎず、今の私たちの言葉で話しています。
文章では伝わりきらない夫婦の空気感や、「卒業漢方(笑)」が生まれた瞬間も、ぜひラジオで聴いてみてください。
放送回へ飛ばない時は2回タップ
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「続けるか、やめるか」の前に、話してみませんか?
治療を続けるか、休むか、やめるか。
すぐに答えを出さなくても大丈夫です。
私たちも、夫婦で何度も話しながら少しずつ気持ちを整理していきました。
もし今、一人で抱えているなら、まずは誰かに話してみませんか。
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