妊活のリアルストーリー~ポジティブになれなくて全然OK!ココロを守るための対処法~

妊活のリアルストーリー~ポジティブになれなくて全然OK!ココロを守るための対処法~

取材・文 外園 佳代子


妊活中はメンタル面の不安が大きくなるもの。
「妊+(nintasu)」では、不妊に悩む人と不妊専門カウンセラーとのマッチングを行っています。

この記事では妊活を経験した女性のリアルストーリーをお届けします。

前編では妊活で感じるモヤモヤ・ザワザワについてお届けしました。
後編ではそれぞれに工夫した「ココロを守るための対処法」についてお伺いします。

登場人物プロフィール

Fさん:夫と二人暮らし。5年半の不妊治療を経験し、メンタルの大切さを痛感。だいぶ吹っ切れたものの、今でも時々モヤつく。

Tさん:約6年半の不妊治療中は看護師として勤務。現在は夫と二人暮らしで、自身の経験をいかして妊活・婦人科ケアに取り組んでいる。

Aさん:一人目妊活中。採卵8回、移植13回に挑戦したが妊娠に至らず。HCGは出るが継続せず、日々落ち込むことが多い。

Hさん:約20年前にタイミング~人工授精を7回。体外受精へのステップアップ時に夫と話し合い「ここまで」と決断した。


二人のご褒美的な時間&自分なりのストレス発散法

―妊活中、落ち込んだ時の対処法についてお聞かせください。 例えばSNSで「見るんじゃなかった……」と思った後の発散方法は?

Aさん:わが家は、治療に関して夫とはざっくばらんに話せるような関係性なんです。「ねぇ、ちょっとこれ見て!」と勝手に私のグチが始まって、夫はフンフンフンって。夫に話すというところが、まず第1ステップ。 そこでスッキリする自分もいますしね。

友人関係でしたら、あえて独身の子と遊ぶ。できるだけ妊娠界隈の情報から、自分を遠ざけます。既婚の友達だと、会った時に先ほど(前編)みたいに「実は今、妊娠してて……」とか言われるとグサッとくるから。

Hさん:私も独身の友達と会う方が増えていったかなぁ。子どもができると自然とそういう時間もなくなってしまうので、会う機会はなくなるんだけど。あとは非日常というか、夫と二人であまり子どもやファミリーがいないような、ちょっとリッチなホテルにね。年に一度くらい奮発して、リッツカールトンとか高いところへ。無意識のうちに、大人の世界を選んでたような気がする。 

Aさん:わが家も毎年行ってます!今度温泉旅行を計画していて、ゆったり過ごしてお酒が飲めそうだったらお酒もね。 お酒=妊娠とちょっと離れたカテゴリーなので、今しか飲めない!と思って楽しんじゃいます。

―ちょっとご褒美的な感じで、二人の時間そのものを楽しむ……。「夫婦で」というのがいいですね。

Tさん: 私、ほんとに遠出が好きだったので、やっぱりコロナ禍がきつかったかな。ストレス発散がすごく大変でしたね。あと、褒めてくれる場所が欲しかったので、「頑張ってるよ!」って言ってくれるYouTube を見たりして……。助産師さんの動画とかで「不妊治療、つらいよね。いいんだよ、泣いて」と言ってもらってうわぁ~っ!て泣く。 本当は誰かに言いたかったんですけど、地元ではない今の地には友人がいなくて誰にも言えなかったから。あと、SWITCHでカラオケもできるから声を出して発散してました。東京にいる時はお二人と同じように、ちょっと高いところに夫婦で行きましたよ。

Hさん:私、結構甘いものとかも食べたりしてた。スイーツでストレス発散

Fさん:ストレス溜まりますよねー。うちは夫婦でスーパー銭湯が好きなんですけど、あえて夜行く。子どもがもういないような時間に行って、二人でのんびり過ごしてました。映画もそうだけど、あえて夜の9時頃に行く。時間をずらして楽しんでいました。

Hさん:自分だけかと思っていたけど、みんなもそうなんだ!それぞれ、工夫されてますよね。

Tさん:はい、私もそう思いました。みなさん、ご夫婦円満な感じでいいですよね。

 「ポジティブに」という言葉にモヤモヤ、ザワザワ

Tさん:Aさんはご主人がグチを聞いてくれるんですね。それ、すごいですよね!私、あんまり言えなかったかも。治療で落ち込んでダメだった、みたいなのは励ましてはくれましたけど。なんかコレどう思う?みたいなグチとかは聞いてくれなかったですね。職場のモヤモヤとかも、言ったら機嫌があまり良くなかったので。

Hさん:私も、治療してた時はなかなか、マイナスなことを言えなかったかも。 相当つらい時は言ってたかもしれないけど、ちょっとモヤッしたことは一人で抱えたり、自分でなんとかしちゃってたかな。 

Aさん:最初からグチを言えてたわけではなくて。本当に治療に集中して、もういっぱいいっぱいになってる時っていうのは、そういうマイナスの言葉を口にすること自体が、自分の妊娠を妨げちゃう……みたいな。 

一同:それ、思ってたー!!

Aさん:妊娠してる友達を見たら「次は私の番なんだから、負の感情をもっていたら妊娠できない」って思うから言えなくなる。今は治療が終結に向かってきていて、ある程度余裕を持って治療と並走している状況だからこそ、(グチを)言っちゃえ!と。

Fさん:治療中に「自分が妊娠できると思っていないと、できないよ」みたいな感じの発信を聞くと、なんかすごいそれがね……自分を責めてしまう。 

Tさん:うん、同感です!伝えようとしていることはわかるんだけど、でもやっぱりネガティブにはなるし、それがダメっていうふうには言われたくないかなぁ。

すべてポジティブに変えるのは、やっぱりできないじゃないですか。「ネガティブが悪い」みたいなニュアンスもちょっぴり秘めている気がして。もうちょっと、違う言葉だといいのに……。ポジティブでいたいと心では思っているけど、いられないから。そんな自分を責めないでほしいですよね。

Hさん:そもそも、不妊治療をしていてポジティブでずっといるって、ムリですよね?

Tさん:そのとおりです!何回、喪失体験してるの?っていう話ですよね。そのあたりが多分、あまり認識されていないんじゃないかな。着床しないのも喪失だし、受精卵にならない、生理が来るだけでも喪失体験なわけで。そりゃあ、ポジティブになれませんよ。

Hさん:そんなふうに心のつくりがなってないからね、ポジティブになれないですよね。

それぞれのココロを守るために。私たちが見つけた対処法

―ポジティブになれなくて全然OK!当事者だからこその力強いお声をありがとうございます。では、治療でうまくいかなかった時、どうやって気持ちを立て直していましたか?

Fさん:私はだいたい仕事帰りに一人でクリニックに行って車で帰っていましたが、通院のたびに落ち込むじゃないですか?家に帰るまで=車に乗っている時間で気持ちを整えないと!と。

Tさん:私も一人で病院に行って、お会計待ちの時間が一番つらかったです。早く呼ばれないかな、と。で、車に乗ってようやく泣ける!そこから、赤い目をして帰らないようにどうしよう、どうしよう……。BGMに激し目の歌詞の曲を選んで、全部を吐き出して。無理やりポジティブにせず、もう悲しむ!みたいな感じでしたね。 

Aさん:私も車で帰りながら泣いてたんですけど、あえてしっかり泣く時間をつくろう、と。翌日は目がパンパンになったりするんだけど、一回そうやって泣いておかないとスッキリしない。大丈夫!泣いてない、泣いてない……だと、そのままずっと引きずっちゃう気がするので。「今私は、つらいんだ」という時間をちゃんとつくってましたね。

Fさん:時間をとるって大事ですね。ずっとではなく、車の時間(約40分)だけとか。病院ではこらえていたからこそ、車内を利用していたなぁ。あとは結構、泣くって決めてお風呂に入ってました。夜のお風呂で、全部流しちゃう。

Hさん:私もお風呂で泣いてたかな。やっぱり個室っていいのかもしれないですね。私、一度だけなぜだか治療中に涙が止まらなくなって。人工授精の時かな? 管が入りづらく時間がかかる方で。その痛みもあったけど、それ以上に「なんで私、こんなことしてるの?」っていろんな気持ちが込み上げてきて涙が止まらなくなって。看護師さんが慌ててフォローしてくれたけど、自分でもびっくりして。きっと、我慢してたから。 

Tさん:私も一回あります!移植中に泣き出しちゃって。わかんないですよね。もうなんか、泣けてくるみたいな。

Hさん:そうそう!自分でも泣こうと思ってないんだけど、なんかこう「流れていく」みたいな。

Aさん:家に帰ったら夫に結果を伝えなきゃいけないから、そこでまた泣けたりもするんですけど……。夫と話す場で泣く、と決めていたらそこで号泣します。もう本当に子どもできないかもしれないねとか、胸の内を夫に吐露しながら。

Hさん:泣くって、やっぱり大事だよね。「涙活(るいかつ)」って言いますもんね。

Tさん:副交感神経が優位になるんですよね。泣いたら、体がゆるむ。

Fさん:なるほど、医学的な裏付けがあるんですね?

Hさん:あるある!会社員時代、産業医(メンタルクリニックの医師)が「泣くっていいんだよ」と、ご自身のおすすめ映画を教えてくれたり。

一同:「あえて泣く」……うんうん!

Fさん:泣くこと、感情を吐き出すことで自分の心を守る。治療に限らず、日常生活にも取り入れたいですね。

エピローグ

当初、「落ち込んだ時の対処法」というテーマで企画した今回の座談会。リアルなお声をたくさん聞かせていただき、前編・後編としてお届けすることができました。

会を終えての感想は、

「過去の私に頑張ったねって、今なら言ってあげられる」

「自分自身をふり返る良い機会になった」

「当時は言えなかったことを話せて、過去の自分を解放できた」

そして、

「ずっとうなずきながら、自身を癒やす会。明るく、明日も元気に頑張れそうです!」

みなさんの笑顔がとても印象的でした。

心地よい一体感に包まれていたのは、当事者どうしだったから。

そして、何年経とうとも記憶に刻まれる、不妊治療はそれだけ人生を揺さぶるものなのだと痛感しました。

だからこそ、
どうかご自身の心を大切にしながら歩まれますように。

妊活中のメンタルケアは「妊+(nintasu )」

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