
生殖物語という言葉、みなさんご存知でしょうか?
不妊治療を始めてまもない頃、書店で買った本の中に「生殖物語」という言葉を見つけました。
この言葉に出会った瞬間のことを今も覚えてます。自分は何が辛いのかわからなかったけれど、この言葉が私にそれを教えてくれました。
生殖物語とは「妊娠・出産を通じて家族をどう築いていくか、幼い頃から自分の中で作られてきた理想の物語」
普段、自分の生殖物語を意識することはありませんが、不妊治療や流産など経験すると思い通りに進まない辛さとともに自分の生殖物語を意識することになります。
不妊治療当事者以外の方は「不妊治療ってお金がかかって大変なんだろう」程度にしか辛さを思いはかることは難しいかもしれません。
けれど、当事者は自分の生殖物語が叶わないことに、理想と現実のギャップを感じ辛さを感じています。
生殖物語が自分を苦しくするならば、どうすればいいのか。まずは自分の生殖物語を知ることから始まります。
自分の生殖物語を知ること
私は幼い頃から母親になりたかった。最初の記憶は4歳の頃おままごとで憧れのお母さん役がやりたかったこと。
小学生の時PTAで学校に来ていた母が誇らしく、自分も育児を楽しむ母親になりたいと思っていました。
小学校の卒業文集で、将来なりたい職業欄に同級生は職業名を書いているにもかかわらず私だけ「お母さん」と書いたことも覚えています。
高校生の頃、医療職と母親業を両立したいと考えるようになりました。
私は「子供は3人欲しい。だから20代で一人目を産みたい(もちろん自然妊娠で)」という生殖物語を持っていました。この想いが私を責めることになりました。
これはなぜか。実は私の価値観というより私の母の価値観がそのまま生き写しになっていました。
私の母は5人姉弟の次女。大変な家庭環境だったこともあり、「子供は人数が多い方がお互いを助け合えるし賑やか」といつも言っていました。
私は3人姉弟の次女で「3人は5人より少ない。私も少なくとも3人子供が欲しい」と無意識に考えるようになっていました。
けれど現実は理想とは異なり、20代で自然妊娠しませんでした。体外受精が必要なのかも・・・と思い始めた頃、
「自分は女性として欠陥品、価値が低い」と自分で自分をジャッジするようになっていました。
そして次々とこんな想いが自分を巡りました。
・結婚したら子供は当然できるもの。20代の90%は自然妊娠するのに、それに当てはまらない自分は価値が低い。
・早く子供を持つ方が女性としての価値が高い
・体外受精で生まれた子は他の子と違う・・・?
自分の無価値観にさいなまれてすごく辛かった。自分の生殖物語=価値観が自分を追い詰める結果に。
けれど、もし生殖物語が自分を苦しめるなら、新しく書き換えたり手放す必要があります。
「子供は3人欲しい。だから20代で一人目を産みたい(もちろん自然妊娠で)」この価値観は母のもので、私にとっては幸せにならないもの。手放して良いもの。
私はさらに遡ってなぜこの想いが生まれたのか、幼い頃のエピソードを思い出しました。
その時の自分を癒してあげられた時、この生殖物語を手放すことができました。
私は自然妊娠じゃないけど、不妊治療を通じ子供を授かることで命の誕生は当たり前ではなく大きな奇跡であることを体感できました。それは大きな気づきでした。
育児のストレスも大きいものなので、20代で子供を持つより心に余裕を持てる30代での初産の方が自分にはちょうどよかった。
体外受精で生まれた子供は普通と違うのではないかと思っていましたが、そもそも子供に普通の概念を押し付けること自体が間違えでした。子供に普通なんてありません。
私が本当に大事にしている価値観は、私の生殖物語と異なっていました。もしそうならば、物語を書き換えていく必要があります。
自分をゆるして不要な思い込みを手放すことで、本来の自分にしっかり戻り、自分を責めていじめる自分を手放すことができる。
不妊治療で立ち止まらなければ見えなかったあなたの大切な生殖物語を一緒に見つめてみませんか?
コメント
生殖物語😳
わたしも実母が23歳に年子でわたし、妹と産んでいたので
早く結婚し子供を産みたいと思ってましたし、年子を望んでいました
もう2人で充分だと思っていますが、本当のわたしはどんな生殖物語を望んでいたのだろうと考えさせられました🤔
無意識に思い描いているところがやっかいですよね😂
私も自分の生殖物語を書き出してみて知った価値観、たくさんありました!
そういう時間をじっくり持つことは、これから歩む人生を、自分のものとして歩むきっかけになるのではないかと思います🥹
@黒田みつこ
そうだったのですね☺️やはり自分の姉妹関係を意識しますよね!みつこさんの生殖物語も知りたいです🥰
@藤岡麻美
まさにおっしゃるとおりですね🥹この時間を作ることで、より良い人生を歩むことができますよね🥰