私が新入社員だった2000年代初期のころは、就職氷河期と言われた時代。
「1回会社に入れば定年まで安泰」って思っていた人は、
そんなに多くないのではないかなと思います。
私自身、外資系の会社へ就職したこともあって
「実力主義の世界」
「定年まで勤続が保証されているわけではない」
と理解して入社したはずでした。
けれど、今振り返ると、
働きはじめて必死に目の前の仕事を頑張り続けるうちに、
特に大きな何かがあったわけでもなく、とても自然な流れで、
私自身のキャリアを ”会社ありき“ で考えるようになっていって、
そのことに私自身、全く気づいていませんでした。
会社の価値観(役職が上がっていくことに重きを置かれる価値観)に
呑み込まれていったことを今、振り返って考えてみると、
そういえばよく上司や同僚からは
「出世したいと思わないのか」
「女性活躍の時代なんだから、追い風じゃないか」
なんていう言葉をいただき、
「そうなのかな、そうなのかもな」
なんて、最初はあまり深く考える間もなく、ふんわりと掴んだ価値観でした。
それが、がむしゃらに働くうちに、
“無自覚” のうちに、その価値観を強固に握りしめることになって。
そんな時、30歳を過ぎて不妊がわかり、
“子どもが欲しいなら、不妊治療が必須” だと病院で言われた時、
“不妊治療を受ける=がむしゃらに働かない私=価値がない”
という、 “無自覚の方程式” が私の心の中で成り立っていたようです。
価値のない人間になることに恐怖を感じていた、ということなのですが、
自分で作り上げた方程式の存在に気付けずに、
ただ漠然とした何かを恐れているような感覚を持ちながら、
不妊治療に取り組んでいたように思います。
この方程式の存在に自分で気づいてしまえば、全力で
「そんなこと、あるわけないじゃん!」
って否定できるんだけれど、
自分の心の中の方程式って、
心の中をよーく自分でのぞいてみないと
気付けないものなのかもしれません。
でも、全く気づかなかったかというと、そういうわけでもなく、
なんかモヤモヤするな〜とか、なんか苦しいな〜とか、
そういった形でヒントがあったかも、と今は思います。
そのモヤモヤを、忙しすぎて余裕のなかった私は、
完全に放置したまま、治療と仕事の両立生活を続けました。
それは、気づかないうちに、毎日のように
少しずつ自分を傷つけていた日々でもありました。
このように、私自身、不妊をはじめとして
モヤモヤする気持ちを散々無視して過ごしてきて。
1つの傷は小さくても、それが積み重なってくると
心の大きな傷になって、気づいたら心が壊れる方向へ進んでいました。
そうなる前に、目に見えない心のケアを、
忙しくても少しでいいから時間をとってケアしていくことが大切、
と、つくづく思います。
カウンセリングは、自分の心をケアする選択肢の1つです。
外見や身体のメンテナンスと同じように、心のメンテナンスも大切にしていきましょう。
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