心と身体に寄り添う妊活カウンセリング 自分らしく妊活を楽しむ秘訣とは

取材・編集 藤岡 麻美 / 協力 庄司 峰子


妊活中はメンタル面の不安が大きくなるもの。
「妊+(nintasu)」では、不妊に悩む人と不妊専門カウンセラーとのマッチングを行っています。

この記事では、妊活中の女性に寄り添うカウンセラーの活動内容や人柄についてご紹介します。今回は福島県で「妊活・婦人科専門カウンセラー」として活動する廣沢さんにお話を伺いました。

(本人提供)
LUANA body therapy代表
妊活・婦人科専門カウンセラー 廣沢 美和さん


8年間の不妊治療経験を経て妊活専門カウンセラーへ

―廣沢さんのこれまでの経歴について教えてください。

私の最初のキャリアは理学療法士で、病院や福祉施設で8年半ほど働いていました。リハビリの仕事はとても好きでしたが、不妊治療をきっかけに退職し、婦人科専門の整体サロンを起業して今7年ほど経ちます。

2年前からは妊活専門カウンセラーの活動を開始し、オンライン相談も含めてのべ30名のお客様に200セッション以上を提供してきました。不妊治療にまつわるお悩みについて、心と身体の両面から支えとなることを目指しています。

―起業当初は整体サロンとしてスタートされたのですね。もともと独立したいという希望があったのですか。

今サロンがあるのは、私の祖父母がお店を経営していた場所です。地元の人がいつも買い物に来る店で、地域の豊かさに貢献している祖父母を誇りに思っていました。そんな場所がなくなってしまうのがとても悲しく、高校生の頃にはすでに「私がこの場所で人に関わる仕事をする」と決めていました。

理学療法士の仕事にもやりがいを感じていましたが、私の中では一つの経験としてとらえていて、ある程度のキャリアを積んだ段階で「そろそろ卒業かな」という直感があったんです。サロンの開業と不妊治療開始が同時期だったので、周囲の人には「もし子どもが生まれたらもっとお金がかかるのに、本当に開業して大丈夫?」と心配されました。

それでも「今このタイミングに起業しないと、絶対に後悔する」という気持ちがあって、勇気を出して一歩踏み出しました。

―妊活専門カウンセラーになろうと考えたきっかけは何でしょうか。

私の不妊治療歴は、通院に加えて体質改善やメンタルケアを含めるとトータルで8年ほどになります。もちろん途中に色々な葛藤があって、「妊活や妊娠することだけがすべてじゃない」と自分のやりたいことや自分らしい生き方が定まるまでに8年かかりました。

特にメンタル面に寄り添うアプローチは、私自身の治療経験からも重要性を感じていました。そこで心理学・脳科学・量子力学など、人の心の動きについて学び、心理的な部分も含めて妊活に寄り添う存在になりたいと思い、妊活専門カウンセラーとして活動を始めました。

(本人提供)

お客様一人ひとりの悩みに寄り添い、ともに歩みたい

―ご自身が不妊治療を続ける中で整体サロンを起業したとき、お客様のサポートと不妊治療との両立に難しさはありませんでしたか。

開業当初は産前産後専門の整体院として、自分と同じ妊活中の方を含む、女性の身体のケアを中心としていました。その頃は本当に未熟で「自分が実践して良かったものをみんなにシェアしたい」という気軽な気持ちでやっていたんです。未熟が故に私自身の妊活と相手の妊活を重ねてしまい、熱心になりすぎてしまった失敗経験もあります。

でも、そんな気づきがあったからこそ学びや成長の機会が得られましたし、お客様の妊活に寄り添う姿勢も徐々に変化させることができました。すべてのお客様との関わりや、その中で得た気づきは大切な宝物です。

―同じ境遇にいるからこそ、つい感情移入して失敗してしまった経験があるのですね。そこからお客様との関わり方はどういう形で変化していきましたか。

私自身も妊活を経験していて、同じ悩みを持つ方に共感できる部分がたくさんあります。でも私の妊活体験は私のもの、目の前にいるお客様の妊活体験はその人自身のものです。妊活には「これが絶対に正しい」という方法はなく、一人ひとりが持つ悩みも違うので、私は先入観や自分の妊活体験は「一旦脇に置く」ようなイメージで考えます。

大事なのは、お客様自身が楽しく妊活に向き合うこと。その中でネックになっている悩みを聞き出し、一緒に解決策を考えるアプローチを大切にしています。

妊活に伴う不安な気持ちを様々な方法で軽減

―廣沢さんのサロンにサポートを求めていらっしゃるお客様は、どんな方が多いですか。

女性が妊娠・出産したいと思うのは自然なことです。でもそれは幸せになるための一つの手段でしかないんですね。長く治療をしていると、妊活という手段にこだわっている自分に気づく。でもどうしようもない焦りや不安が生まれてしまう…これが妊活の苦しさの一つだと思います。

私が大切にしているのは、「どうしてそのこだわりが出てしまうのか」を一緒に紐解いていくことです。妊娠しなくちゃいけない、と人生の手段にフォーカスするのではなく、

「どうして妊娠したいのか」

「なぜ自分の人生に子どもがいるといいなと思ったのか」

そんな原点を振り返りながら視点を広げる関わり方を意識しています。

そして点と点が線につながって、希望が見えるようなカウンセリングができたら、もっと豊かな人生につながっていくと思います。

―妊活中はどうしても視野が狭くなってしまう場合もあり、他の人のアドバイスでハッと気づくことも多いですよね。

一つの手段である妊活にまっしぐらにならないよう、私のサロンでは身体面のアプローチや食事・運動などの改善方法をお伝えしています。「妊娠しなきゃ」とフォーカスしている気持ちを逸らして、視野を広げるきっかけが得られるようなプログラムが特徴です。

それによってお客様も「こういう考え方をしていれば希望が持てるかも」とか「食事や姿勢をこうしていくといいんだ」という形で、自分の生活全体をもう一回見直して妊娠が目的だけの状態から脱出していく。私のところにいらっしゃるお客様は、だんだんとそうやって前向きな思考へ変化していく方が多いです。それが私なりの寄り添い方なのかなと思って、日々意識していますね。

妊活を楽しむには「心身のバランス」が大切

―ボディケアのみ行っていた頃と、カウンセリングを併用した場合とでお客様の様子に変化はありましたか。

妊活整体のみでサポートしていた頃は、ご懐妊の割合は56%ほどでした。そこに栄養に関するアドバイスや心理カウンセリングを入れることで、数値が73%まで向上したんです。私のサポート期間中に妊娠できなかったとしても、ご自身で主体的に妊活に取り組めるようになって、サロンを卒業していく方も多くいらっしゃいます。そんなお客様としばらくして再会すると、妊活に悩んでいたときに比べて表情も身体の状態も格段に良くなっていて、やはりメンタルケアがすべてのベースになるんだと実感します。

―心も身体も同時に整えたからこそ、良い方向へ変化していったのかもしれませんね。廣沢さんが考える、カウンセリングを受けるメリットは何でしょうか。

カウンセリングってなんとなくハードルが高いイメージがありますよね。でも実際に経験してみると、自分を否定することがなくなります。例えば「私のここがダメだから変えなきゃ」という考えで心理カウンセリングが始まったとしても、「本当はダメなんかじゃない」と自分自身の良さに気づけます。

さらに、自分を変えることや他人を変えることにこだわらなくなり、物事のとらえ方や解釈が変化して周りの環境自体が好転していきます。そうすれば自律神経が整ってきて、自然と身体も変わるんです。

自分だけが頑張るのではなく、誰かに頼ったり自然の流れに委ねてみたり、考え方や行動パターンがいくつも見えてくるのがカウンセリングのメリットの一つです。結果として、ボディメンテナンスだけに集中するときに比べてより短時間で身体が整う場合が多いので、ぜひ安心してカウンセリングを試していただきたいですね。

―妊活中はどうしても「妊娠がゴール」と設定しがちですが、そうではなくて自分自身がどうなりたいか、どんなふうに生きたいかを考え、それを叶える一つの手段に妊娠があるということですね。

はい。お客様自身が「すでに今の自分は十分に幸せなんだ」と実感した上で、次の一歩として「こうなりたい」と目指す先が見えるようになっていくイメージです。妊活を苦しそうに頑張るのではなく、自ら選択して妊活をやっているという感覚になっていく女性を見ると、本当にたくましさを感じますね。

妊活に限らず、人生の中で悩む場面は色々あると思いますが、そんな局面でも自分を信じて乗り越えられたり、前向きに出来事をとらえられるようになる、そんなメリットがメンタルケアにはあると思います。

「妊活経験は宝物」肩の力を抜いて自分らしく進もう

―廣沢さんのカウンセリングはどんな流れで進みますか。

福島市のサロンに来ていただける方は、整体やカウンセリングの体験を通してお話を聞き、お悩みにあわせて温活や心理カウンセリング・栄養療法などのメニューを組み合わせてご提案します。

遠方の方の場合でもカウンセリングだけでなく、栄養のアドバイスなど講座形式で承れます。もし整体をご希望の場合は、全国で活躍する私の妊活整体の仲間のうち、お住まいの地域に近いサロンを紹介することもできます。

無理なく妊活を進めてほしいので、負担のない範囲で少しずつ妊娠に必要なことを取り入れていただき、心も身体もトータルでサポートすることを心がけています。

―妊活に漠然とした不安がある方や、なんとなく心が苦しい方も、廣沢さんの幅広いサポートを受ければきっとお悩みの解決につながるのではと思います。

私自身も、妊活の経験がなければメンタルケアの大切さに気づけなかったと思います。もともと気合いと根性で乗り越えるタイプの性格で、つい無理してしまうことがありました。でも自分の心に向き合うプロセスを通して、「頑張っても難しいこと」と「頑張ればできること」の区別をきちんとつけられるようになり、とても生きやすくなったと実感しています。

世間の価値観に自分の生き方を合わせたり、幸せにならなきゃという固定概念、それらが自分らしさを損なっていたことに気づけて、ようやく自分というつぼみを開花させられた気がします。だから妊活は私にとってとても貴重な経験ですし、心から感謝しています。

―「貴重な経験」というのはすごく素敵な言葉ですね。妊活中は不安な気持ちも大きいですが、そんな経験が宝物だという廣沢さんに救われる方も多いと思います。最後に、不妊に悩む方にメッセージをお願いできますか。

私がすべての女性に伝えたいのは「あなたは今でも十分に素晴らしいよ」ということ。すでに頑張っているのだから、「もっと頑張らなきゃ」という想いを手放して、旦那さんや身近な人に頼って楽しく妊活をしてほしいです。

私自身、妊活中に知り合ったお客様には心の面でたくさん支えていただきました。同じ経験をした人とのつながりは、きっと「一人じゃないんだ」という心強さになります。私は妊活開始と同時に起業をするという無謀な経験もあるので、妊活とキャリアに悩む方にも一人で悩まないでと言いたいです。

それから、妊活では夫婦関係も非常に重要です。私は主人に「子どものために結婚したんじゃないよ」と言ってもらうまで、肩の荷がおりない感覚がありました。そんな経験を経て絆が深まり、子どもがいなくても主人とはとても仲良しです。妊活で夫婦関係が崩れてしまうのはもったいないので、ぜひ心の支えになりたいですね。

妊活には、身体や心といった内面的な部分はもちろん、仕事やパートナーとの関係など外的要因も複合的に関連しています。もし迷いや不安があるなら、話を聞いて一緒に気持ちを整理するお手伝いをしたいと思います。

(本人提供)

―ご自身も妊活を経験し、悩みや葛藤を乗り越えながら多くのお客様をサポートしてきた廣沢さん。その温かい言葉は、きっとこれからも多くの女性の支えとなっていくことでしょう。今回は素敵なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

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